PXEBOOT/BOOTP/DHCPあたりのことをまとめておく
この辺りはよく使ってる技術なんだけど一回作ってしまうと細かなことは忘れてしまうし、 AWSのようなクラウドサービスを使っていると触れる機会も減ってしまうので、 覚えているうちにまとめておこうと思う。
PXEBOOT
ネットワークカードに搭載されているPXE(Preboot eXecution Environment)機能を使ってプログラムを起動する方法。
起動するプログラムはDHCPサーバとTFTPなどのサーバを組み合わせて配布する。
ネットワークカードにPXEBOOTのための機能が搭載されているものがあれば、BIOSのBOOTをネットワークブートに設定すれば使える。
DHCPはBOOTPの上位互換プロトコルなので、BOOTP的な設定はDHCPサーバの設定に書くこともできる。
DHCP設定にTFTPサーバがどのアドレスかなどの情報を書いておき、クライアントに配布できるが、特に指定がない場合DHCPサーバとTFTPサーバは同じアドレスとみなされる。
TFTP、DHCPサーバともに軽量なサーバなことが多く、同じ物理サーバに設置することもある。
DHCP
PXE対応ネットワークカードは起動時にDHCPでマルチキャストパケットを投げる。
ネットワーク上にDHCPサーバがあれば、パケットに応答しPXEの情報をクライアントに返す。
複数のDHCPサーバが応答する場合、どれが応答するかわからなくなるため同一ネットワークに複数のDHCPサーバと立てないようにしたい。
TFTP
UDPでやりとりするファイル転送用のプロトコル。FTPより単純で認証などない。PXEで実行するイメージを転送する際に使うことができる。
暗号化も特にされていないので ngrep などでパケットを眺めればどういうやり取りがされているか簡単にわかる。
MACアドレスやDHCPで割り当てされたIPアドレスの一部を使って設定ファイルをダウンロードしようとする。これはPXEの仕様。
例えば、 192.168.0.200
をDHCPで割り当てた場合、それぞれのアドレスを16進数に変換した、 C0A800C8
というファイルをリクエストする。
ファイルが見つからなかった場合、1文字短くした C0A800
、 次には2文字短くした C0A8
といったファイルを順にリクエストしてくる。
この仕組みがあるので、サブネットごとに違うアドレスレンジをDHCPサーバが返すことでネットワークごとに違う設定ファイルをクライアントに渡すことができる。
設定ファイルの実体は pxelinux.cfg
と同じ書式のもので、シンボリックリンクで名前だけ用意するのが簡単。
TFTPサーバはセキュリティの都合上、chroot化で実行されることがままあるため、シンボリックリンクを張る際には /
からの絶対パスではなく相対パスで作成しておくのが無難。
DebianでPXEサーバとDHCPサーバとTFTPサーバを作る例
TFTPサーバは tftpd-hpa
、DHCPサーバは isc-dhcp-server
をそれぞれ使う。
apt install tftpd-hpa isc-dhcp-server
TFTPサーバの設定
TFTPサーバの設定は /etc/default/tftp-hpa
だが、対して設定項目もないのでそのまま使ってもよい。
その場合、 /srv/tftp
がTFTPサーバのルートとなり、chrootされた状態でサーバが起動される。
TFTP自体の設定は対してないが、いくつか重要なファイルがある。
/srv/tftp/pxelinux.0
pxelinuxのブートイメージ。後述のDHCPサーバの指定で細かな指定がない場合 filename "pxelinux.0"
はこのパスになる。
/srv/tftp/pxelinux.cfg/
MACアドレスやIPアドレスで設定ファイルを探しに来る場所。該当するMACアドレスやIPアドレスのものがない場合は default
のファイルが読みだされる。
いずれのファイルも見つからない場合、ネットワークブートは失敗に終わる。
DHCPサーバの設定
DHCPサーバの設定は、 /etc/dhcp/dhcpd.conf
でこちらはネットワークに合わせて少し設定が必要になる。
この辺りは単にDHCPの設定になるし、DHCPは家庭LANでもよく使われているので改めて説明の必要もないかもしれない。
allow bootp
と allow booting
あと、 nameserver
の設定、PXEのイメージを配るときの名前 filename
あたりの設定と、ネットワークのサブネット周りをちゃんと見ておく。
DebianのWikiにも設定例があるけど、細かいところはネットワークによって違うので何とも言い難い。
サーバの再起動
設定ができたら、DHCPとTFTPを再起動しておく。最近はsystemdでやる。
動作確認
多分これだけで動く。適当に動作確認して問題なければこのまま使えばいいと思う。終わり。
コミティアいくぞ
— シリル@バンドリフレンズ (@d_cyrill1129) 2017年5月5日